少年事件とは

少年事件にいう「少年」とは20歳未満の未成年者が対象になります。
具体的には以下のような分類です。
①犯罪行為がある場合
触法少年:行為時14歳未満の少年
犯罪少年:審判時20歳未満の少年
②犯罪行為がない場合 

ぐ犯少年:将来罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年

 

少年事件の流れ

少年事件では、犯罪の嫌疑やぐ犯の疑いがある場合は、全て家庭裁判所に送致されるという「全件送致主義」がとられています。

少年事件の流れは以下の表のようになります。

捜査段階

家庭裁判所送致前

家庭裁判所送致後

家庭裁判所送致後

審判開始と審判不開始

家庭裁判所への送致後、調査を経て審判を開始するか旨の決定もしくは開始しない旨の決定を行うことになります。

審判開始決定がなされた場合、観護措置がとられている少年に関しては、観護措置の期間が通常は4週間であるので、家庭裁判所送致後4週間以内に審判が開かれることになります。

審判に付すべき少年については、家庭裁判所の調査官による少年本人や保護者との面談、被害者や学校等の関係者への書面での照会などの調査が行われます。

軽微な事案で少年や少年の家庭環境等に大きな問題がない場合は、審判を行わないすなわち審判不開始という決定がなされることがあります。

 

用語の説明

【在宅と逮捕】

何らかの事件が発覚した場合でも、必ずしも逮捕され身柄拘束されるとは限りません。逮捕されずに警察等で事情聴取を受けるなど捜査される場合のことを「在宅」といいます。

【勾留】

逮捕された場合、48時間以内に検察官に送致されます。①住居不定、②罪証隠滅のおそれ、③逃亡の恐れがあるとされれば、検察官は裁判所に勾留請求をし、裁判所が勾留の理由及びやむを得ない理由を認めた場合、引き続き身柄拘束をされることになります。勾留期間は最大10日間、勾留延長が認められた場合、さらに10日間の身柄拘束となります。

勾留場所は警察署の他、少年鑑別所になる場合もあります。

【勾留に代わる観護措置】

検察官は勾留請求に代わり、勾留に代わる観護措置請求をするということが認められています。

勾留に代わる観護措置の場合、期間は10日間で延長できず、少年鑑別所に収容されます。

【家庭裁判所送致】

少年事件においては、①少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると思料する場合、②犯罪の嫌疑がなくても家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料する場合、は全て家庭裁判所に送致されます。

家庭裁判所において調査を行い、処分が決定されることになります。

【観護措置】

家庭裁判所が調査、審判を行うに当たって必要な場合にその身体を保全する措置です。多くの場合は少年鑑別所で生活することになります。

①逃亡や罪証隠滅のおそれがある場合、②家族からの虐待や自傷のおそれがあるなど、緊急に保護する必要性が認められる場合、③心身の鑑別の必要性がある場合などに必要性が認められます。

観護措置の期間は2週間で、1回に限り更新することができるとされていますが、通常は更新され家庭裁判所送致から4週間以内に審判が行われることになります。

【弁護人・付添人の違い】

手続の段階によって弁護士の呼び方が異なります。

捜査段階(逮捕・勾留・勾留に代わる観護措置、在宅)では「弁護人」といわれます。

家庭裁判所送致後は「付添人」となります。

*手続のどの段階からでも関わることができます。また逮捕・勾留されていない場合でもご相談は可能です。

【審判】

当該事件について、少年の処分を決定するための家庭裁判所における手続きです。

原則非公開で、「懇切を旨として、和やかに」「非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとして」行われます。

処分を決定するに当たっては、単に事件の重大性、被害弁償の有無等のみを考慮するのではなく、少年の健全育成、成長・発達を考慮した観点で行われることになります。

【検察官送致(逆送)】

家庭裁判所送致後、審判時に20歳になる場合、刑事処分が相当である場合は、再度検察官送致され刑事手続に則った処分が行われることになります。

少年事件に関するご相談コラム